腎臓の機能が低下すると、体内の老廃物や余分な水分を排出する能力が失われ、最悪の場合、透析や腎臓移植が必要になることがあります。

透析患者のリスク

透析を受けている患者さんは、免疫機能が低下しやすく、新型コロナウイルスなどの感染症にかかると重症化するリスクが高まります。透析は週に数回、数時間かけて行うため、生活の質にも大きな影響を与えます。

腎臓移植の現状

腎臓移植は、最も多く行われている臓器移植のひとつです。移植後は、拒絶反応を防ぐために免疫抑制剤の投与が必須となります。これにより、さまざまな感染症の活動を抑えていた免疫機能が抑制されることで、感染症に対する抵抗力が低くなります。この点が、特に注意が必要となります。

潜伏感染ウイルスのリスク

小さい頃に感染したウイルスは、体内に潜伏し続けることがあります。例えば、BKウイルス(ポリオーマウイルス科に属するウイルス)は、腎臓や尿路に潜伏しています。このような潜伏感染ウイルスは、免疫機能が低下したときに活動を始める(再活性化といいます)ことで症状が現れ、問題を引き起こすことがあります。

まとめ

高齢期に達すると、腎臓の機能が徐々に低下する人が多くなります。腎臓の健康をできるだけ維持することは、高齢者にとって非常に重要です。定期的な健康診断を受け、腎機能の低下(血液検査のeGFR項目が腎臓の働きを示す数値として広く使われている)が見られた場合は早めに医療機関を受診することが大切です。また、透析や腎臓移植を受けている方は、感染症予防に特に注意し、医師の指示に従って適切なケアを行いましょう。

投稿者

cooter@

大阪大学でウイルス学を専門にしていました。大学を定年退職後はワクチンメーカー、そん後は地方衛生研究所、そして大学発ベンチャー会社と勤め、現在は完全退職(大阪大学名誉教授)です。

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