肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、自覚症状が出にくい臓器です。しかし、肝臓の健康を守ることは、全身の健康を維持するために非常に重要です。

肝数値の異常とは?

肝臓の機能を調べるために、いくつかの血液検査が行われます。代表的なものには、ALT(GPT)、AST(GOT)、γ-GTP、ALPなどがあります。これらの数値が高い場合、肝臓に何らかの問題がある可能性があります。

  • ALT(GPT)とAST(GOT): これらは肝細胞の損傷を示す酵素です。数値が高いと、肝細胞が壊れている可能性があります。
  • γ-GTP: これは胆道系の障害を示す酵素です。胆汁の流れに問題がある場合に上昇します。
  • ALP: これは骨や胆道に関連する酵素で、特に胆道系の障害を示します。

高齢者に多い肝臓の問題

高齢者では、以下のような肝臓の問題がよく見られます。

  • 脂肪肝: 過剰な脂肪が肝臓に蓄積する状態です。肥満や糖尿病が原因となることが多いです。
  • 肝炎: ウイルス性肝炎(B型、C型)や自己免疫性肝炎などがあります。これらは慢性的な肝臓の炎症を引き起こします。
  • 肝硬変: 長期間の肝臓の損傷が進行し、肝臓が硬くなる状態です。肝機能が低下し、さまざまな合併症を引き起こします。

感染症と肝臓の関係

肝臓は感染症に対しても重要な役割を果たします。特に高齢者は免疫力が低下しているため、感染症にかかりやすくなります。以下のような感染症が肝臓に影響を与えることがあります。

  • ウイルス性肝炎: B型肝炎やC型肝炎は、血液や体液を介して感染します。慢性化すると肝硬変や肝がんのリスクが高まります。
  • 細菌感染: 胆管炎や胆嚢炎など、胆道系の感染症が肝臓に影響を与えることがあります。これらは急性の症状を引き起こし、早期の治療が必要です。

予防と対策

肝臓の健康を守るためには、以下の点に注意しましょう。

  1. 定期的な健康診断: 肝機能の数値を定期的にチェックし、異常があれば早期に対処することが重要です。
  2. バランスの取れた食事: 脂肪や糖分を控えめにし、野菜や果物を多く摂るようにしましょう。
  3. 適度な運動: 運動は肝臓の脂肪を減らし、全身の健康を促進します。
  4. 感染症の予防: ウイルス性肝炎の予防接種を受け、手洗いや消毒を徹底しましょう。

肝臓の健康を守ることは、全身の健康を守ることにつながります。定期的な検査と健康的な生活習慣を心がけましょう。

投稿者

cooter@

大阪大学でウイルス学を専門にしていました。大学を定年退職後はワクチンメーカー、そん後は地方衛生研究所、そして大学発ベンチャー会社と勤め、現在は完全退職(大阪大学名誉教授)です。

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