これからの季節、感染症が流行しやすくなる時期に備えて、特に高齢者の皆さまにとって感染症情報を収集することは大変重要です。
肺炎球菌とは?
肺炎球菌は、肺炎の主な原因となる細菌です。同じ肺炎球菌といっても、約100種類の血清型があります。血清型が異なるということは、私たちのからだに備わっている免疫機能が「別物」と認識することを意味しています。したがって、100種類もある中で、高齢者にとって肺炎を引き起こす対象となりやすい血清型、すなわち高齢者にとって重症化しやすく、脅威となる血清型を選択的に高いレベルの免疫機能に維持する必要があります。
高齢者へのワクチン接種
高齢者に対する肺炎球菌ワクチンとしては、23価(23種類の血清型を含む)肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(PPSV23)が一般的です。このワクチンは、23種類の血清型に対して効果があります。しかし、ワクチンに含まれていない血清型が流行することもあり、これを「血清型置換」と呼び、近年がこの現象が問題になっています。この現象は、ワクチン接種後に特定の血清型が減少する一方で、他の血清型が増加することを意味します。
最近ではワクチン接種のオプションが拡大
高齢者を対象に、65歳でPPSV23を接種された方は、5年後の70歳で同じくPPSV23を接種することが望ましいとされています。
最近、より効果が期待できる20価結合型肺炎球菌ワクチン(PCV20)が、2024年8月28日に国内で高齢者(65歳以上)とハイリスク者(60歳以上65歳未満で日常生活が極度に制限される程度の基礎疾患を有する者)に対して薬事承認されました。抗体の誘導が期待できるPPSV23に比べて、この結合型は抗体と共に細胞性免疫も誘導されやすく、高い防御効果が期待されます。
抗生物質が効かない肺炎球菌株(薬剤耐性株)の脅威
血清型置換を起こした肺炎球菌の型に加えて、抗生物質が効かない肺炎球菌の株(薬剤耐性株)が増えていることも大きな問題となっています。
これにより、治療が難しくなり、感染が重症化するリスクが高まります。
予防策
1. ワクチン接種: 肺炎球菌ワクチンを定期的に接種しましょう。特に65歳以上の方は、医師と相談して接種を受けることをお勧めします。
2. 手洗い・うがい: 基本的な衛生習慣を徹底することで、感染リスクを減少させることができます。
3. 規則正しい生活: バランスの取れた食事と適度な運動で免疫力を維持しましょう。
4. 早期の医療相談: 体調に異変を感じたら、早めに医師に相談することが重要です。
まとめ
高齢者の皆様が健康で過ごすためには、肺炎球菌感染症のリスクを理解し、適切な予防策を講じることが大切です。家族や周囲の人々も協力して、感染予防に努めましょう。