人間の免疫機能

人間に本来備わっている免疫機能とは、体内に侵入したウイルスや細菌などの病原体やがん細胞(がん細胞は元は自分の体に由来するものですが、制御が効かなくなってどんどん増えるようになった、異物化した細胞)を排除し、健康を維持するための重要なシステムです。免疫機能には大きく分けて「自然免疫」と「獲得免疫」の2種類があります。

自然免疫

自然免疫は、異物が体内に侵入した際に最初に働きます(初動型)。主な免疫細胞には以下のものがあります:

  • 好中球:細菌などの病原体を攻撃し、からだを守ります。
  • マクロファージ:異物を取り込み、消化することでからだから排除します。
  • NK細胞(ナチュラルキラー細胞):ウイルスに感染した細胞やがん細胞を攻撃します。
  • これらの免疫細胞は、ウイルスや細菌、またがん細胞などの異物に対して、ほぼ同じような攻撃の仕方をします。

獲得免疫

獲得免疫は、いろいろな異物それぞれの特徴を認識し(最初に遭遇したときは、免疫細胞の認識は1か月近くかかる)、しかもその認識に対する記憶を持ち、再度同じ異物が侵入した際に迅速に(数日で)対応する免疫です。主な免疫細胞には以下のものがあります:

  • B細胞:抗体を作り、異物を攻撃して破壊したり、排除したり、またウイルスが宿主細胞に結合して感染するのを阻止したりします。
  • T細胞:T細胞にはヘルパーT細胞とキラーT細胞があります。ヘルパーT細胞は、異物を認識し、その情報を他の免疫細胞(B細胞やキラーT細胞など)に示し、指示を出します。また、キラーT細胞はウイルスに感染した細胞やがん細胞などを直接破壊します。

免疫機能低下

高齢者は一般的に免疫機能が低下しやすくなります。これは、免疫細胞の数や機能が減少するためです。具体的には、以下のような変化が見られます:

  • T細胞の減少:異物を認識し、攻撃する能力が低下します。
  • 抗体の産生量の減少:感染症に対する抵抗力が弱まります。

免疫機能を維持

バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠、ストレス管理が、免疫機能をできるだけ長く維持するために役立ちます。