今日は特に高齢者の方々に向けて、帯状疱疹のリスクとその予防についてお話しします。

帯状疱疹とは?

帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)が原因で発症する病気です。小さい頃に水ぼうそう(水痘)にかかったことがある方は、このウイルスが体内に潜伏しています。ウイルスは神経節に潜み、免疫機能が低下したときに再び活動を開始(再活性化)し、帯状疱疹を引き起こします。

高齢者のリスク

高齢者は免疫機能が低下しやすく、帯状疱疹のリスクが高まります。帯状疱疹は激しい痛みを伴い、場合によっては帯状疱疹後神経痛(PHN)という長期間続く痛みが残ることがあります。この痛みは非常に強く、生活の質を大きく損なうことがあります。

帯状疱疹ワクチンの重要性

帯状疱疹の予防には、ワクチン接種が非常に効果的です。現在、日本では2種類のワクチンが利用可能です:

1. 乾燥弱毒生水痘ワクチン(ビケン)

   – 1回の接種で済みますが、効果は約5年間持続します。

   – 予防効果は約50%です。

2. 不活化ワクチン(シングリックス)

   – 2回の接種が必要ですが、効果は9年以上持続します。

   – 予防効果は50歳以上で約97%、70歳以上で約90%です。

どちらのワクチンも、帯状疱疹の発症を予防し、発症した場合でも症状を軽減する効果があります。

予防策

1. ワクチン接種: 帯状疱疹ワクチンを定期的に接種しましょう。特に50歳以上の方は、医師と相談して接種を受けることをお勧めします。

2. 免疫力の維持: バランスの取れた食事と適度な運動で免疫力を維持しましょう。

3. ストレス管理: ストレスを減らし、十分な休息を取ることが重要です。

4. 早期の医療相談: 体調に異変を感じたら、早めに医師に相談することが大切です。

まとめ

高齢者の皆様が健康で過ごすためには、帯状疱疹のリスクを理解し、適切な予防策を講じることが重要です。家族や周囲の人々も協力して、感染予防に努めましょう。

投稿者

cooter@

大阪大学でウイルス学を専門にしていました。大学を定年退職後はワクチンメーカー、そん後は地方衛生研究所、そして大学発ベンチャー会社と勤め、現在は完全退職(大阪大学名誉教授)です。

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