マイコプラズマ肺炎とは?

マイコプラズマ肺炎は、「肺炎マイコプラズマ」という細菌によって引き起こされる呼吸器感染症です。この病気は1年を通じて発生しますが、特に秋から冬にかけて多くみられます。マイコプラズマ肺炎は患者全体に占める14歳以下の割合が多く、幼児から学童期、また青年期など、意外にも若くて健康な人もかかります。

多くの人は肺炎に至る前の気管支炎で回復しますが、一部の人、特に高齢者はより重症である肺炎を起こすことがあります。肺炎を起こした人の中には、その後に肺機能の低下を来すこともあるため、早めに適切な治療を受けるようにしてください。マイコプラズマ肺炎と診断されると、抗菌薬が処方されますので、最後までのみ切りましょう。

症状と特徴

マイコプラズマ肺炎の初期は、発熱、倦怠感、頭痛、のどの痛みなど、風邪に似た症状がみられます。その後、乾いた咳がしつこく、長引くことが特徴になっています。特に、夜間や早朝に咳がひどくなる傾向があります。症状が軽い場合でも、咳が数週間も続くことがあります。咳が1週間以上続く場合は、放置せずに受診し、咳の原因を突き止めることが大切です。

感染伝播

マイコプラズマ肺炎の感染力はそれほど強くありませんが、飛沫感染や接触感染によって広がりますので、感染防止には手洗いやマスクの着用が重要と思われます。特に、高齢者の場合は家庭内や介護施設などでの感染伝播が報告されています。このような集団生活の場への肺炎マイコプラズマの、外部からの持ち込みは注意が必要です。

マイコプラズマ肺炎のメカニズム

私たちのからだに備わっている免疫システムが、侵入してきた肺炎マイコプラズマが増え始めるとそれを排除しようとして、咳などの防御反応(免疫応答)を生じさせます。そのため、免疫システムがまだ整っていない乳児が発症に至ることは少なく、免疫応答が強くなっていく幼児期、学童期、青年期を中心に、比較的若くて健康な人(免疫力が高い人)の発症が多く見られる肺炎です。肺炎マイコプラズマが気管支に感染するのが「マイコプラズマ気管支炎」、肺胞(はいほう:気管支の先端にある小さな袋で、酸素と二酸化炭素を交換する役割をもつ)に感染して起きるのが「マイコプラズマ肺炎」と呼ばれ、マイコプラズマ肺炎のほうが重症といえます。

一方、高齢者の場合は免疫機能が低下している場合が多く、したがって咳の症状は軽くなることもありますが、免疫機能低下から逆に重症化する場合もあります。例えば、呼吸困難や全身の倦怠感などです。

長引く咳の対処法

たんの絡まない乾いた咳が徐々に強くなります。長引く咳は、体力を消耗させ、日常生活に支障をきたします。水分を十分摂取し、湿度を保つことで咳を和らげるようにしましょう。夜はうつぶせで寝ると楽になることもあります。

まとめ

マイコプラズマ肺炎は、症状が軽い場合でも長引くことがあり、高齢者にとっては特に注意が必要です。感染予防と早期の治療が重要ですので、咳が続く場合は早めに医療機関を受診しましょう。

投稿者

cooter@

大阪大学でウイルス学を専門にしていました。大学を定年退職後はワクチンメーカー、そん後は地方衛生研究所、そして大学発ベンチャー会社と勤め、現在は完全退職(大阪大学名誉教授)です。

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